先月もちょこっと書きましたが、東京大学出版会が出しているPR誌『UP』は面白いです。
憲法学の長谷部恭男の連載(先月までではありませんでした)では、立憲主義と絶対平和主義を両立すると考える者は平和ボケ的なことが書いてあって、なるほどなあと思いました。
でも良く考えると、実力保持肯定論者が前提として持ち出す、いざ日本に外敵が来たらどうするかっていう話が眉唾というか……。「交戦法規があるから心配ない」って論や「来たら群民蜂起」とかはさすがにアレとして、本当に来る可能性があるのかなあ(と考えるのが平和ボケなのかも)。交戦法規ではなく、武力行使禁止原則+国連による集団安全保障体制を持ち出して論じたらどうか。「気のいい外国の軍隊」がなかなかいないから、これが機能不全なんでしょうけども。
法哲学の笹倉秀夫の「開いた法学/閉じた法学」というのも面白かったです。
法の枠内、あるいは個別の法の中に閉じてしまうことが多い法学ですけれども、日本には我妻栄・川島武宜らの研究によって社会学的アプローチや歴史学的アプローチ、そして比較法アプローチがとられた結果「開いた法学」の伝統があるけれども、最近のロースクールは専門学校化していると警鐘を鳴らす内容です。
その次に載っている宇宙論の須藤靖の注文(ちゅうぶん)の多い雑文のなかにある「法医工文」の序列ではないですが、法学部というのは修法エリート、法曹、修法市民を養成する機関であって(法学部は出たけれど…という例外もいますが…)総合知と批判精神が必要だと。わたくしも総合的学問としての法学を意識した研究をしたいところです。
そうか! 一見すると法学研究には無関係だと思われるテレビや雑誌とかをダラダラと見るのも現代の社会背景を探るために必要なことなのです!
山口晃のすヾしろ日記はひとコマ、ひとコマが大きくなりました。読みやすくなりましたが、なんか物足りない気も…